2011年6月19日日曜日

日常的にできる放射線対策: 食品調理の工夫

新聞の投書欄で、「日常でできる放射線被曝対策が少ない」という意見があるのを見つけました。そこで、以前に紹介したカリウム摂取以外に、主に食品・サプリメント関係で日常的にできる化学的対策を、思いつくまま紹介していこうと思います。

先日、”食品調理で放射線(正確には放射性物質ですが)を減らす方法”がテレビで放送されていました。NHKニュース9だったので、見た人も少なくないでしょう。今回は、これがどの程度有効か紹介し、科学的に検証してみます。
 番組を要約すると、以下のようになります。
▽野菜などの表面をよく洗い、土がついていれば、それもよく洗い落とす。
▽じゃがいもやにんじんなどの根菜や皮つきの果物は皮をむく。
▽さらにゆでることによって、野菜の中のセシウムが出て行きやすくなる。

以前に述べたように、セシウムはプラスイオンになりやすく、イオンは水に溶けやすいという化学的性質をもっています。ですから、水洗いは食品のセシウムを取り除くのに有効です。さらに、温度が高いと化学物質の水への溶けやすさ(専門用語では溶解度)が上がるので、ゆでるとさらにセシウムを取り除きやすくなるはずです。実際、上図によるとゆでた方が水洗より除去率が上がっています(68%→78%)。ただし、ゆで汁中にはセシウムが含まれているので、これは必ず捨てる必要があります。
また、土はマイナス性なので、プラス性のセシウムは土にくっつきやすいという性質があります。ですから、土の付いた食品の皮をむくというのも、科学的に理にかなっています。
あと、食塩(塩化ナトリウム)水には、ナトリウムイオンと塩化物イオンが含まれているので、単なる水よりセシウムイオンが溶けやすくなるのでは?と思いつきました。そこで、ちょっと調べてみたら、実際に、水洗より食塩水で洗浄した方が放射性物質の除去率は上がるみたいです(食品中の水分を除く効果によるところもあるようですが)。この事実を踏まえると、単にゆでるより、塩ゆでした方が除去効果は高いと思います。

詳細データは下図に示しますので興味のある人は参照してください。

(元ニュース)http://www3.nhk.or.jp/news/tokusetsu2011/0616.html