2011年7月2日土曜日

日常的にできる放射線対策: 食品調理の工夫3

前回、野菜や魚の酢漬けが有効だと述べましたが、酢のような酸性物質で効果があるなら、逆に重曹のようなアルカリ性物質でも効果があるのでは?と思いつきました。そこで、ちょっと調べてみたら、やはり、重曹でも効果があるみたいです。

食品調理でよく使われる重曹(食品用タンサン)は、炭酸水素ナトリウムNaHCO3というアルカリ性物質で、これの水溶液にはナトリウムイオンと炭酸水素イオンが含まれています。したがって、セシウム含有食品を重曹水溶液に浸すと、セシウムイオンは炭酸水素イオンにくっつくことで、食品中のセシウムCsイオンは重曹のナトリウムNaイオンに置き換わって、除かれやすくなると思われます。
(化学式で簡単に書くと、Cs-食品 + NaHCO3 → Na-食品 + CsHCO3)

特に山菜類を重曹水溶液でゆでるとアク抜きできますし、豆類を重曹水溶液でゆでると柔らかくなり色が鮮やかになります。したがって、セシウム除去という意味だけでなく、様々な調理効果がありますのでお勧めです。

ちなみに、緑色豆類を重曹水溶液でゆでると色が鮮やかになるのは、緑色成分(葉緑素)中のマグネシウムMgイオンが重曹のナトリウムNaイオンに置き換わるからと言われています。






2011年6月29日水曜日

日常的にできる放射線対策: 食品調理の工夫2

先に食品調理での放射性物質除去では、食品の水洗、食塩水洗浄、さらにゆでる、塩ゆでする、などが有効だと述べました。
調理法としては、野菜や魚の酢漬けなども有効(前回紹介した資料では、除去率30~90%)といわれていますので、今回はこれを科学的に検証します。

酢というのは主成分は酢酸(化学用語で有機酸と呼ばれるものの一つ)で、水素イオンを放出し、自身はマイナスイオンになりやすいという化学的性質を持っています。したがって、セシウムのようなプラスイオンになりやすい物質とはくっつきやすいという性質があります。酢漬けなどにすると、食品中のセシウムが酢酸にくっついて、酢の中に溶け出してくることで、効率的に除去できるのだと思います。ただ、漬けた後の酢にはセシウムが含まれているため、ゆで汁と同様に捨てる必要があります。

日本で酢といえば米酢がよく使われますが、酢酸を同じくらい含む酢(玄米酢、黒酢、リンゴ酢など)でも効果はほとんど同じだと思います。酢酸を多く含む酢(香酢、ブドウ酢など)ならば、もっと効果が高くなるかもしれません。
さらに、酢酸はあまり含まれていなくても、他の有機酸、例えばクエン酸、リンゴ酸などを豊富に含む酢(梅酢、もろみ酢など)でもいいのではないかと思えてきます。酢酸より弱い酸なので、若干効果は落ちるかもしれませんが。

酢漬けを作るのなら、単なる放射線対策としてだけでなく、色々な酢を試して、味の違いを楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。

(参考)酢の種類と有効成分の比較
http://www.健康酢.jp/300/ent331.html