2011年4月28日木曜日

放射線用語の基礎

テレビや雑誌など見ていると、放射線、放射性物質、放射能が混同・誤用されていることが少なくありません。
放射線(レントゲン検査で被曝するX線など)を放出する物が放射性物質(ヨウ素やセシウムなど)、これが放射線を出す能力が放射能(ベクレルで表示)、放射能が半分になるまでの期間が半減期です。

冷凍食品の運搬時に使われるドライアイスで例えてみます。ドライアイスは二酸化炭素の固まりで、これの基礎は以下がわかりやすいです。
http://www.nihon-tansan.co.jp/kids/index.html
ドライアイスは二酸化炭素を放出するので、ドライアイスが放射性物質、二酸化炭素が放射線、二酸化炭素を出す能力が放射能に相当します。半減期は、ドライアイスが半分の大きさになるまでの時間、とイメージすればわかりやすいでしょう。

そういえば二酸化炭素と放射線、どちらも少量では問題なく大量に浴びると体に毒、どちらも無色・無臭で見えない・・・よく似ています。

ちなみに、ドライアイスは被災地でも活用されているみたいです。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110424/trd11042420550009-n1.htm

2011年4月27日水曜日

放射線を現す単位: ベクレルとシーベルト

放射線の話をわかりにくくしている原因の一つに、ベクレル(Bq)とシーベルト(SV)という二つの単位にあります。
おおざっぱに言うと、Bqは「放射性物質(ヨウ素、セシウムなど)が放射線を発する能力=放射能」を現す単位、SVは「放射性物質に曝された時の放射線による人体への影響」を現す単位です。
お酒の例え話では、Bqがお酒自体のアルコール度数、SVがお酒を飲んだ時のアルコールによる人体への影響を現す単位に相当します。

一般市民が最も知りたいのは、放射線による人体への影響ですからSVなんですが、各マスメディアでは”水や農産物から○○Bq検出された”とよく報道されます。なので、BqからSVへ変換できると便利ですね。今回は、その変換法を紹介します。

例えば、300Bqの放射性ヨウ素が検出された水を1kg飲んだとき(300Bq/kg)の人体への影響は、300Bq×0.000022=0.0066mSVとなります。
0.000022という数字は、ヨウ素に関してベクレルからシーベルトへ変換する係数で、以下から参照しました。ヨウ素以外の放射性物質の変換係数もここに載っています。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/j_senkeisu.html

放射線の健康への影響: 発がんとの関係

放射線を浴びた場合に、健康への影響で最も気になるのはがんだと思います。
広島・長崎の被爆者(数万人)の発がん性を長年追跡調査した研究がありますので、この結果をかいつまんで紹介します。
●200mSVの放射線を浴びた場合、
(被爆していない場合に比べて)がんになる危険性が1.1倍に増加した。

例)30~70歳でがんになる可能性は約30%なので、もしこの年齢層で200mSVの放射線を浴びた場合はその可能性が33%になる計算(つまり、3%の上昇)になります。おおざっぱにまとめると、200mSV以上放射線を浴びた場合、がんになる危険性は3%以上増加する、と言えます。

では100mSVでは1.5%増加するのか?と言う疑問は生じますが、年間に100mSVの放射線を浴びると(100mSV/年)、がんになる危険性は0.5%上昇する、というのが医学的な定説みたいです。

放射線被曝については、自然界からの放射線(日本1.5mSV/年、世界平均2.4mSV/年)に加えて、健康診断などでレントゲンやCT検査による放射線を浴びています(医療被曝と呼ばれます)。この医療被曝が日本は平均2.3mSV/年(世界平均0.6mSV/年)あります。つまり、自然被爆と医療被曝を合計すると、多くの人が一般に3~4mSV/年の放射線を浴びている計算になります。これ以外の放射線は1mSV以下にするのが望ましいと言われています。これらの情報を踏まえると、5mSV/年以下であれば放射線を浴びても、がんになる危険性は上昇しないと言えます。以上まとめると、年間に

100mSV以上は危険(発がん性上昇する:100mSV:0.5%、200mSV:3%)
5~100mSVは詳細不明(発がん性:0~0.5%)

5mSV以下は安全(発がん性上昇しない)

2011年4月26日火曜日

放射線の健康への影響

放射線と健康の関係ですが、どういう説明をしたかわかりやすいかいろいろ考えた結果、お酒の健康傷害を例えにしてみます。

お酒を少量飲んでも問題なくて限界量超えて飲むと、急性アルコール傷害や慢性アルコール傷害が現れる事はよく知られていますよね。
実は、放射線も少量なら被爆しても問題なくて限界量超えて被爆すると、急性の傷害や慢性の傷害が現れるのです。なので、限界量がどの程度かを知っておくと、むやみに恐れることはなくなります。信頼できるデータを以下に紹介します。単位は”mSV(ミリシーベルト)”
          
急性の傷害(吐き気や倦怠感)
国際基準は400-500mSV(日本は100-250mSV)/h
つまり、1時間に100-250mSV以上の放射線を浴びれば傷害が現れる可能性高いですが、これ以下なら大丈夫です。

慢性の傷害(がんや白血病)
(例)500mSVの放射線を浴びると、2ー20年後に1000人中2人が白血病になったデータがあるので、500mSVで白血病になる確率は0.2%といえそうです。がんについては、次の機会で紹介します。

2011年4月24日日曜日

放射性物質を除く効果のある浄水器

原発問題が深刻化してから放射線詐欺という悪質な行為が報告されています。
例えば、体に取り込んだ放射性物質を解毒するという健康食品、サプリメント、医薬品。空気や水中の放射性物質を除くという清浄器、浄水器。国民の不安な心情につけ込んで、これらの商品を高額な値段で売りつけているそうです。これらはほとんどが効果のないインチキ商品ですが、中には科学的に効果が実証されたものもあります。まずは災害時用浄水器を紹介します。

汚染水をこの浄水器に通すと放射性ヨウ素、セシウムが検出されなくなったと言う実験結果がTV番組「ガイアの夜明け」で紹介されていましたので、確かに放射性物質を濾過して除く性能がありそうです。ちなみに番組中での報告では、
         汚染水          浄水器処理後
ヨウ素     約530Bq/L                  不検出
セシウム          約13Bq/L         不検出 

ただ、本体価格が25~30万円+設置代が約3万円で浄水器としては高額なので、個人での購入はためらわれますね。でも、安心・安全を最優先したい場所(医療機関など)では導入を検討するに値します。現在、メーカーへ直接ネットかFaxでのみ注文できます。

http://www.nmt.or.jp/goods_katei/index.html
http://www.nmt.or.jp/index.html

ちなみに、番組中に登場したのはCV-105JA,205JAで、被災地周辺の病院や保育園にも提供されていました。