神奈川の茶葉(新ニュースでは茨城や栃木の茶葉も追加)に、基準値を超えるセシウムが検出された理由について、まだ十分ではないものの、これまでの信頼できそうな情報を元に考察してみます。結論から言うと、一部を除いて他の農産物での心配はあまりなさそうです(今回のお茶でも、長期間がぶ飲みしなければ心配ないレベルですが)。お茶の性質、セシウムとカリウムの関係が鍵で、具体的な理由を以下に示します。
●セシウムは茶葉の表面ではなく内部から検出されたらしいので、お茶の木が土中のセシウムを根から吸収して新芽にたまった可能性が高い。
これは科学的に十分あり得る話です。実は、お茶の木は土中のカリウムを根から吸収して新芽にたまりやすい事がわかっています。
そして、セシウムはカリウムと化学的性質が似ています(化学用語では、同族元素と呼ばれます)。カリウムよりセシウムの方が大きいので、豆で例えると、それぞれ小豆と大豆に相当します。
動植物の細胞は、大きさが多少違っていても化学的性質が似ている同族元素は誤って取り込んでしまうことがあります。そのため、お茶の木がカリウムと間違えてセシウムを取り込んでしまったのだと思われます。例え話では、小豆と間違えて大豆を口に入れてしまったようなものです。最後に、取り込まれたセシウムが新芽にたまって、濃縮されたわけです。
では、濃縮されやすい他の作物でも同じ事が起こるのでは?と思いますが、実際にチェルノブイリ事故後の研究では、天然キノコにセシウム濃縮作用が認められたと報告されています(室内人工栽培キノコには認められず)。よって、少なくとも天然キノコについては注意が必要でしょう。3月中旬の水素爆発以来これまでの所、大気中への大規模な放射性物質の放出はないため、新茶とキノコを除く農産物での心配はあまりなさそうです。より広範囲で継続的な検査をしないと断定はできませんが。
今後の対策についてですが、まだ決定的なものはありません。
福島では校庭の汚染土を地表から10センチ掘り起こすと放射性物質が三分の一以下に減少すると報告されていますが、取り除いた汚染土をどうするのかが問題となっています。
チェルノブイリ後の研究では、キノコによるセシウム吸収をカリウムが阻害すると報告されており、セシウムとカリウムの関係から考えられる化学的対策としては、とりあえず、
生産者側: カリウム豊富な肥料を使うなど。
消費者側: 普段からカリウム豊富な食生活をする。例えば野菜、果物、豆類、牛乳、お茶など。お茶にカリウムが多いのは、今回の説明が理由です♪
がすすめられます。他にも何か化学的対策があればお知らせします。
膨大な健康情報が氾濫している昨今、信頼性の高い情報を得ることは大変難しくなっています。そこで、科学者の視点から、心身の健康について正確で役に立つ情報を、(専門用語の多用を避けて)できるだけわかりやすく伝えてみます。「内容は高く、表現は優しく」がモットーです。リンクは自由ですが、一言お知らせくだされば嬉しく思います。
2011年5月20日金曜日
2011年5月17日火曜日
神奈川のお茶は安全か危険か?(補足)
先の投稿で、小田原のお茶について「お茶葉1kgを毎日体に取り込み続けると10日で0.10mSV、1年で3.7mSV(基準値は10日で0.065mSV、1年で2.4mSV)」と書きましたが、ここでのお茶葉1kgとは茶畑で収穫されたお茶葉1kgであって、実際に我々市民がお茶として飲む場合にどれくらいの量になるのかイメージがつかみにくいです。
そこで調べてみた結果、茶畑で収穫されたお茶葉1kgというのは、市販の茶製品にして200gに相当するみたいです。スーパーの茶製品を幾つか見たところ、標準では、茶製品4g(小さじ一杯分)を急須に入れてお湯130mlで抽出すると、湯飲み茶碗一杯分のお茶になります。これで計算すると、50杯分に相当する事になります。
つまり、小田原のお茶をもっとわかりやすく表現すると、「お茶を50杯、毎日飲み続けると10日で0.10mSV、1年で3.7mSV(基準値は10日で0.065mSV、1年で2.4mSV)被曝する可能性あり」となります。
しかし、いくらお茶好きな人でも50杯、毎日飲み続けることは滅多にないと思います。また、茶葉に含まれる放射性物質がすべてお湯で抽出されるわけでもありません(お湯の温度や抽出時間によっても左右される)。したがって、実際に体へ取り込まれる放射線量は、もっとずっと少なくなるはずです。
なお、茶葉にだけセシウムが検出された理由については、まだ信頼できるデータが少ないので今は触れないでおきます。もう少し情報がそろったらコメントしてみようと思っています。→5/20,コメントしました。
基準値を超えて検出された市町村は箱根や丹沢などの山脈近くが多いです。3月中旬の水素爆発で上空に大量放出されたセシウムなどが風に乗って運ばれてきて、高い山に遮られてふもとにたまっていった可能性が指摘されています。それが、3月下旬に降った雨で地上に降下してきて、土中に含まれるようになったと思われます。
箱根山脈の南西地域、つまり静岡以西や、神奈川より原発に近くても高い山がない場所では、基準値を超えるセシウムは検出されていないようです。福島でも原発に近くても高い山がない場所ではセシウム量は少なく、逆に遠くても山脈の近くでは多いという、同じような傾向が見られます。
そこで調べてみた結果、茶畑で収穫されたお茶葉1kgというのは、市販の茶製品にして200gに相当するみたいです。スーパーの茶製品を幾つか見たところ、標準では、茶製品4g(小さじ一杯分)を急須に入れてお湯130mlで抽出すると、湯飲み茶碗一杯分のお茶になります。これで計算すると、50杯分に相当する事になります。
つまり、小田原のお茶をもっとわかりやすく表現すると、「お茶を50杯、毎日飲み続けると10日で0.10mSV、1年で3.7mSV(基準値は10日で0.065mSV、1年で2.4mSV)被曝する可能性あり」となります。
しかし、いくらお茶好きな人でも50杯、毎日飲み続けることは滅多にないと思います。また、茶葉に含まれる放射性物質がすべてお湯で抽出されるわけでもありません(お湯の温度や抽出時間によっても左右される)。したがって、実際に体へ取り込まれる放射線量は、もっとずっと少なくなるはずです。
なお、茶葉にだけセシウムが検出された理由については、まだ信頼できるデータが少ないので今は触れないでおきます。もう少し情報がそろったらコメントしてみようと思っています。→5/20,コメントしました。
基準値を超えて検出された市町村は箱根や丹沢などの山脈近くが多いです。3月中旬の水素爆発で上空に大量放出されたセシウムなどが風に乗って運ばれてきて、高い山に遮られてふもとにたまっていった可能性が指摘されています。それが、3月下旬に降った雨で地上に降下してきて、土中に含まれるようになったと思われます。
箱根山脈の南西地域、つまり静岡以西や、神奈川より原発に近くても高い山がない場所では、基準値を超えるセシウムは検出されていないようです。福島でも原発に近くても高い山がない場所ではセシウム量は少なく、逆に遠くても山脈の近くでは多いという、同じような傾向が見られます。
2011年5月14日土曜日
神奈川のお茶は安全か危険か?: ベクレルとシーベルト(2)
福島から遠く離れた神奈川県のお茶葉から、基準値を超える放射性セシウムが検出されたことで、関東の農産物について衝撃と混乱が広がっています。政府や県は「お茶を飲んでも直ちに健康に影響はないが、念のため出荷の自粛を要請した」と、相変わらず安全なのか危険なのかわからない言い方をしています。これでは、「影響ないのになぜ出荷制限するのか?」「今は影響なくても将来危ないのでは?」と不安になりますよね。
ニュースによると、基準値500Bq/kgを超えるセシウムが南足柄市など数カ所で検出されたとのことです(570~780Bq/kg)。しかし、この値だけ見ても、体にどの程度の影響があるのか判断が付きません。そこで、以前に紹介した方法を使って、ベクレルからシーベルトへ変換してみます。
例えば、最も値の高かった小田原市のお茶葉(780Bq/kg)で計算してみます。このお茶葉1kを人体へ取り込んだ時の影響は、780Bq×0.000013=0.010mSVとなります。0.000013という数字は、セシウムに関してベクレルからシーベルトへ変換する係数で、以下から参照しました。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/j_senkeisu.html
もし、このお茶を10日体に取り込み続けたとすると、0.010mSV×10日=0.10mSVで、この程度なら安全と言えます。しかし、もしこのお茶を一年取り込み続けたとすると0.010mSV×365日=3.7mSVとなり、お茶だけで体に取り込む放射線量としてはやや多いので、単純に安全とは言い切れなくなってきます。
つまり、「科学的にはお茶を数日飲んだとしても健康に影響はないけど、市場に出ていると長期にわたって飲み続ける人がいるかもしれない。その結果、健康に影響が出てくる可能性はある」、ということになります。
ということで、政府・県の「直ちに健康に影響はないが、念のため出荷の自粛を要請」という方針は間違ってはいないと思います。しかし、一生懸命作った生産者の気持ちを考えると、画一的な出荷自粛ばかりでいいのだろうか?という気はします。例えば、「今回のお茶葉1kgを毎日体に取り込み続けると10日で0.10mSV、1年で3.7mSV(基準値は10日で0.065mSV、1年で2.4mSV)」と表示して、政府の責任において出荷を許可するなど、生産者に配慮した対応も必要なのではないでしょうか。。。
ニュースによると、基準値500Bq/kgを超えるセシウムが南足柄市など数カ所で検出されたとのことです(570~780Bq/kg)。しかし、この値だけ見ても、体にどの程度の影響があるのか判断が付きません。そこで、以前に紹介した方法を使って、ベクレルからシーベルトへ変換してみます。
例えば、最も値の高かった小田原市のお茶葉(780Bq/kg)で計算してみます。このお茶葉1kを人体へ取り込んだ時の影響は、780Bq×0.000013=0.010mSVとなります。0.000013という数字は、セシウムに関してベクレルからシーベルトへ変換する係数で、以下から参照しました。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/Yougo/j_senkeisu.html
もし、このお茶を10日体に取り込み続けたとすると、0.010mSV×10日=0.10mSVで、この程度なら安全と言えます。しかし、もしこのお茶を一年取り込み続けたとすると0.010mSV×365日=3.7mSVとなり、お茶だけで体に取り込む放射線量としてはやや多いので、単純に安全とは言い切れなくなってきます。
つまり、「科学的にはお茶を数日飲んだとしても健康に影響はないけど、市場に出ていると長期にわたって飲み続ける人がいるかもしれない。その結果、健康に影響が出てくる可能性はある」、ということになります。
ということで、政府・県の「直ちに健康に影響はないが、念のため出荷の自粛を要請」という方針は間違ってはいないと思います。しかし、一生懸命作った生産者の気持ちを考えると、画一的な出荷自粛ばかりでいいのだろうか?という気はします。例えば、「今回のお茶葉1kgを毎日体に取り込み続けると10日で0.10mSV、1年で3.7mSV(基準値は10日で0.065mSV、1年で2.4mSV)」と表示して、政府の責任において出荷を許可するなど、生産者に配慮した対応も必要なのではないでしょうか。。。
2011年5月10日火曜日
福島の放射線許容量は安全か危険か?
福島の放射線許容量について、20mSV/年という基準を巡っての混乱が広がっています。文部科学省、政府は妥当だと主張し、専門家は賛否両論。挙げ句の果てに、この値では高すぎると言って、内閣参与だった専門家が泣きながら辞任する始末・・・これでは、市民には安全なのか危険なのかさっぱりわからず、混乱するばかりですね。
とりあえず、現時点で信頼できる情報を元にして、考えてみます。重大な原発事故などの緊急事態を想定した場合の数値は、以下のように定まっています。
緊急時: 20~100mSV /年
収束時: 1~20mSV/年
緊急時であれば20mSVは最も低い値なので、完全に安全なレベルです。しかし、この緊急時の値は、実は、事故発生から1~2週間(長くても1ヶ月)程度に限って適用されるものなので、事故が長期にわたった場合は収束時の値で考えないといけません。すると今度は、20mSVは最も高い値になるので、単純に安全とは言い切れなくなってきます。
ところで、レントゲン技師などの放射線従事者が浴びている放射線は約5mSV/年なので、このレベルまでなら安全と言えます。また、子供は大人より2~3倍放射線の影響を受けやすいと報告されています。
これらの情報を踏まえると、安全を最優先するなら、大人5mSV、子供1~2mSVと設定するのが理想的だと思います。
ただし、ここまで厳しく設定すると、誰も全く外出できなくなって当面の生活に支障が出る恐れはあります。この現実面を考えると、とりあえず20mSV/年と設定するのもあながち間違っているとは言えません。暫定的に設定して理想値まで下げていくという方針も理解できなくはないです。
ただし、上述のように子供は影響を受けやすいので、大人20mSVと設定するのであれば、子供は5~10mSVくらいに設定すべきだと思います。さらに、この値は期限付きで適用し、それを超えても事態が収束せずに放射線量が下がらないのであれば、生活より安全を優先して設定値を下げるか、思い切って子供だけでも学童疎開(?)みたいなことも必要になるかもしれません。
とりあえず、現時点で信頼できる情報を元にして、考えてみます。重大な原発事故などの緊急事態を想定した場合の数値は、以下のように定まっています。
緊急時: 20~100mSV /年
収束時: 1~20mSV/年
緊急時であれば20mSVは最も低い値なので、完全に安全なレベルです。しかし、この緊急時の値は、実は、事故発生から1~2週間(長くても1ヶ月)程度に限って適用されるものなので、事故が長期にわたった場合は収束時の値で考えないといけません。すると今度は、20mSVは最も高い値になるので、単純に安全とは言い切れなくなってきます。
ところで、レントゲン技師などの放射線従事者が浴びている放射線は約5mSV/年なので、このレベルまでなら安全と言えます。また、子供は大人より2~3倍放射線の影響を受けやすいと報告されています。
これらの情報を踏まえると、安全を最優先するなら、大人5mSV、子供1~2mSVと設定するのが理想的だと思います。
ただし、ここまで厳しく設定すると、誰も全く外出できなくなって当面の生活に支障が出る恐れはあります。この現実面を考えると、とりあえず20mSV/年と設定するのもあながち間違っているとは言えません。暫定的に設定して理想値まで下げていくという方針も理解できなくはないです。
ただし、上述のように子供は影響を受けやすいので、大人20mSVと設定するのであれば、子供は5~10mSVくらいに設定すべきだと思います。さらに、この値は期限付きで適用し、それを超えても事態が収束せずに放射線量が下がらないのであれば、生活より安全を優先して設定値を下げるか、思い切って子供だけでも学童疎開(?)みたいなことも必要になるかもしれません。
福島の放射能汚染マップによると、国が定めた避難区域以外でも、福島市、二本松市、郡山市を含む一帯の放射線量が結構高く、計算すると15~20mSV/年くらいになるのがわかります。ついで、いわき、白河、会津若松周辺が高く、3.5~4mSV/年くらいになります。
気になるのは、この測定値が地表1mの値であることと、関東の一部に意外と放射線量の高い場所があることです。これについては、後で別にコメントします。
2011年5月5日木曜日
放射線用語の基礎2
観測結果を元に、東京に住む人が一ヶ月(3・14~4.11)に浴びた放射線量が発表されました。
外部被曝量: 0.016mSV
内部被曝量: 0.1mSV
合計して0.116mSVなので、健康に影響を与えるレベルではありません。
さて、これまでは放射線を浴びることを、単に被曝と言ってきましたが、被曝には内部と外部の二種類ありますので、ここで整理してみます。
外部被曝は、レントゲン検査などで、体の外から放射線を浴びること。
内部被曝は、放射性物質を含む水や食料を飲食したり、放射性物質が付着したホコリを吸い込んだりして体内に取り込まれ、内部から浴びること。
内部被曝は体内から放射線を浴びるので、とても怖い印象を受けるかもしれません。ただし、病原菌やウイルスと違って、放射性物質は時間とともに体内で増えることはありません。
また、放射性物質は時間とともに放射線を出す能力(=放射能)が減っていくので、むしろ時間とともに体内から減っていきます。ちなみに、放射能が半分になるまでの期間(=半減期)は、
ヨウ素が8日、セシウムが30年。セシウムは半減期がすごく長いのでびっくりするかもしれませんが、こんなに長期間体内に留まっているわけではありません。人体は汗や尿などで異物を対外へ排出する機能を持っていますので、体内に留まっている期間はもっとずっと短くなります。
体内で放射能が半分になるまでの期間(=生物学的半減期)は、ヨウ素が約7日、セシウムが約90日と言われています。
外部被曝量: 0.016mSV
内部被曝量: 0.1mSV
合計して0.116mSVなので、健康に影響を与えるレベルではありません。
さて、これまでは放射線を浴びることを、単に被曝と言ってきましたが、被曝には内部と外部の二種類ありますので、ここで整理してみます。
外部被曝は、レントゲン検査などで、体の外から放射線を浴びること。
内部被曝は、放射性物質を含む水や食料を飲食したり、放射性物質が付着したホコリを吸い込んだりして体内に取り込まれ、内部から浴びること。
内部被曝は体内から放射線を浴びるので、とても怖い印象を受けるかもしれません。ただし、病原菌やウイルスと違って、放射性物質は時間とともに体内で増えることはありません。
また、放射性物質は時間とともに放射線を出す能力(=放射能)が減っていくので、むしろ時間とともに体内から減っていきます。ちなみに、放射能が半分になるまでの期間(=半減期)は、
ヨウ素が8日、セシウムが30年。セシウムは半減期がすごく長いのでびっくりするかもしれませんが、こんなに長期間体内に留まっているわけではありません。人体は汗や尿などで異物を対外へ排出する機能を持っていますので、体内に留まっている期間はもっとずっと短くなります。
体内で放射能が半分になるまでの期間(=生物学的半減期)は、ヨウ素が約7日、セシウムが約90日と言われています。
2011年5月3日火曜日
放射線の健康への影響: 発がんのしくみ
福島で、20mSV/年という基準が妥当かどうか問題になっていますね。前にも書いたとおり5~100mSV/年は、発がん危険性について詳細不明なので、この20mSVという値の妥当性については何ともいえません。実際に、専門家の間でも意見が割れているので、今はあまり触れないでおきます。ただ、子供の方が放射線の影響を強く受ける事は確かなので、大人と同じ基準にすることは好ましくないと思いますが。。。
ところで、今回のタイトル、放射線が体にがんを起こす仕組みについてですが、放射線が遺伝子DNAを攻撃して傷つけることが原因だと聞いたことがあるかもしれません(私も本格的に化学を学ぶ前は漠然とそのように思い込んでいました)。でも、厳密に言うと少し違います。
放射線を浴びると、体内の水(人の体は約60%が水分)が分解されて活性酸素が生じ、この活性酸素がDNAを攻撃して傷つけるということが化学的研究で証明されています。つまり、攻撃の主役は活性酸素で、放射線は脇役なのです。(活性酸素は老化の原因にもなっていてマスコミにもよく取り上げられるので、聞いたことある人も多いと思います。)
さらに近年の研究結果より、タバコなどに含まれる発がん物質も体内で活性酸素を発生させて、これがDNAを攻撃して傷つけるということがわかってきました。
つまり、放射線もタバコも発がんのしくみは基本的に同じなのです。
放射線が活性酸素を作る様子、これがDNAを攻撃する様子、少量の放射線では問題なくて大量だとなぜ危なくなるのか?などは、例え話を交えながら別の機会に取り上げてみようと思っています。
ところで、今回のタイトル、放射線が体にがんを起こす仕組みについてですが、放射線が遺伝子DNAを攻撃して傷つけることが原因だと聞いたことがあるかもしれません(私も本格的に化学を学ぶ前は漠然とそのように思い込んでいました)。でも、厳密に言うと少し違います。
放射線を浴びると、体内の水(人の体は約60%が水分)が分解されて活性酸素が生じ、この活性酸素がDNAを攻撃して傷つけるということが化学的研究で証明されています。つまり、攻撃の主役は活性酸素で、放射線は脇役なのです。(活性酸素は老化の原因にもなっていてマスコミにもよく取り上げられるので、聞いたことある人も多いと思います。)
さらに近年の研究結果より、タバコなどに含まれる発がん物質も体内で活性酸素を発生させて、これがDNAを攻撃して傷つけるということがわかってきました。
つまり、放射線もタバコも発がんのしくみは基本的に同じなのです。
放射線が活性酸素を作る様子、これがDNAを攻撃する様子、少量の放射線では問題なくて大量だとなぜ危なくなるのか?などは、例え話を交えながら別の機会に取り上げてみようと思っています。
2011年4月28日木曜日
放射線用語の基礎
テレビや雑誌など見ていると、放射線、放射性物質、放射能が混同・誤用されていることが少なくありません。
放射線(レントゲン検査で被曝するX線など)を放出する物が放射性物質(ヨウ素やセシウムなど)、これが放射線を出す能力が放射能(ベクレルで表示)、放射能が半分になるまでの期間が半減期です。
冷凍食品の運搬時に使われるドライアイスで例えてみます。ドライアイスは二酸化炭素の固まりで、これの基礎は以下がわかりやすいです。
http://www.nihon-tansan.co.jp/kids/index.html
ドライアイスは二酸化炭素を放出するので、ドライアイスが放射性物質、二酸化炭素が放射線、二酸化炭素を出す能力が放射能に相当します。半減期は、ドライアイスが半分の大きさになるまでの時間、とイメージすればわかりやすいでしょう。
そういえば二酸化炭素と放射線、どちらも少量では問題なく大量に浴びると体に毒、どちらも無色・無臭で見えない・・・よく似ています。
ちなみに、ドライアイスは被災地でも活用されているみたいです。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110424/trd11042420550009-n1.htm
放射線(レントゲン検査で被曝するX線など)を放出する物が放射性物質(ヨウ素やセシウムなど)、これが放射線を出す能力が放射能(ベクレルで表示)、放射能が半分になるまでの期間が半減期です。
冷凍食品の運搬時に使われるドライアイスで例えてみます。ドライアイスは二酸化炭素の固まりで、これの基礎は以下がわかりやすいです。
http://www.nihon-tansan.co.jp/kids/index.html
ドライアイスは二酸化炭素を放出するので、ドライアイスが放射性物質、二酸化炭素が放射線、二酸化炭素を出す能力が放射能に相当します。半減期は、ドライアイスが半分の大きさになるまでの時間、とイメージすればわかりやすいでしょう。
そういえば二酸化炭素と放射線、どちらも少量では問題なく大量に浴びると体に毒、どちらも無色・無臭で見えない・・・よく似ています。
ちなみに、ドライアイスは被災地でも活用されているみたいです。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110424/trd11042420550009-n1.htm
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